サイレントキラーから身を守る—血圧を知り、正しく向き合う

保内郷メディカルクリニック 内科より

高血圧症は、特別な自覚症状がないまま静かに進行し、ある日突然、心臓病や脳卒中といった重大な病気を引き起こすことから、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれています。

地域の皆様の健康を長年見守ってきた当院では、内科において高血圧の予防と管理を最も重要な診療の一つと位置づけています。今回は、血圧とは何か、なぜ高血圧が怖いのか、そして日常生活でできる対策について詳しく解説します。


1. そもそも血圧とは? なぜ測る必要があるのか?

血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が、血管の壁にかける圧力のことです。

  • 収縮期血圧(上の血圧): 心臓が収縮して血液を押し出した時の、最も高い圧力。
  • 拡張期血圧(下の血圧): 心臓が拡張して血液を取り込んでいる時の、最も低い圧力。

血管はゴムホースのようなもので、高い圧力がかかり続けると、その壁が硬く分厚くなり、弾力性を失います。これが動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、血管が狭くなったり詰まったり、あるいは破裂しやすくなります。

この高い圧力がかかる状態が長く続いても、初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。そのため、「自分は元気だから大丈夫」と放置してしまうことが、将来の重大な健康被害に繋がる最大の危険性となります。

2. 知っておきたい! 高血圧の基準値と分類

日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」に基づき、血圧の基準は定められています。

分類収縮期血圧(上)かつ/または拡張期血圧(下)
正常血圧120未満かつ80未満
正常高値血圧120〜129かつ80未満
高血圧(医療機関)140以上または90以上
高血圧(家庭)135以上または85以上

※家庭血圧は、リラックスした状態で測るため、医療機関で測る血圧より5mmHg低く基準が設定されています。

大切なのは、医療機関での血圧が140/90mmHg以上の場合、または家庭で測る血圧が135/85mmHg以上の場合、治療が必要な高血圧症と診断されるということです。この値を超えていたら、必ず医師に相談してください。

3. 高血圧が引き起こす恐ろしい合併症

高血圧が「サイレントキラー」と呼ばれるのは、自覚症状の少なさだけでなく、以下の重篤な合併症を引き起こすためです。

脳:脳出血、脳梗塞

高血圧は脳の細い血管に大きな負担をかけます。血管が破れて出血すれば脳出血、動脈硬化で血管が詰まれば脳梗塞を引き起こします。これらは、麻痺や言語障害などの後遺症を残したり、命に関わることもあります。

心臓:心肥大、心不全、狭心症、心筋梗塞

高い血圧に逆らって血液を送り出すため、心臓は常に過剰な働きを強いられます。その結果、心臓の筋肉が厚くなる心肥大が起こり、やがて心臓のポンプ機能が低下し、心不全に至ります。また、心臓を栄養する冠動脈の動脈硬化は、狭心症や心筋梗塞の原因となります。

腎臓:腎硬化症、腎不全

腎臓は、細い血管が集中している臓器です。高血圧によって腎臓の血管が傷つくと機能が低下し、最終的には人工透析が必要な腎不全に陥るリスクが高まります。

4. 高血圧の主な原因と治療の基本

高血圧の原因の約9割は、特定の原因を特定できない本態性高血圧で、遺伝や生活習慣が複雑に絡み合って発症します。

① 生活習慣の改善

治療の基本は、薬物療法よりもまず生活習慣の是正です。

  • 減塩: 日本人は塩分摂取量が多い傾向にあります。目標は1日6g未満です。出汁や香辛料を活用し、薄味に慣れることが重要です。
  • 適切な体重の維持: 肥満は血圧を上げる大きな要因です。BMI(体格指数)25未満を目指しましょう。
  • 適度な運動: 有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギングなど)を毎日30分以上、または週に数回行うことが推奨されます。
  • 節酒・禁煙: 過度な飲酒は血圧を上げます。禁煙は、血管の健康を取り戻すために不可欠です。

② 薬物療法

生活習慣を改善しても血圧が目標値まで下がらない場合や、合併症のリスクが高い場合は、降圧薬による治療を開始します。降圧薬には様々な種類があり、患者さんの状態や合併症に合わせて医師が最適な薬を選択します。

重要なのは、「薬は血圧を下げ、合併症を防ぐためのもの」であり、自己判断で中断せずに、医師の指示通りに服用を続けることです。

5. 当院からのメッセージ:高血圧と上手につきあうために

高血圧は一度診断されると、原則として生涯にわたる管理が必要です。しかし、それは決して悲観することではありません。正しい知識と適切な治療によって、合併症のリスクを大幅に下げ、健康な生活を続けることが可能です。

当院の内科では、患者様お一人おひとりの生活背景を考慮し、無理なく続けられる治療計画をご提案しています。血圧の管理は、患者様と医師の二人三脚で行うことが最も効果的です。

健康診断で血圧を指摘された方、ご自身の血圧が気になる方は、どうぞお気軽に保内郷メディカルクリニックにご相談ください。定期的な受診と日々の血圧測定を通じて、皆様の「サイレントキラー」対策を万全にサポートいたします。

あなたの健康と命を守るために、今日から血圧と向き合いましょう。

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医院概略

医院名医療法人保内郷厚生会
保内郷メディカルクリニック
住所〒319-3526
茨城県久慈郡大子町大子824
診療
科目
内科,皮膚科,耳鼻咽喉科,麻酔科,内視鏡
入院
設備
19床
Tel &
Fax
Tel:0295-72-0179
Fax:0295-72-0222
Emailhonaigo-mc@outlook.jp

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