見えないSOSに気づくために—高血糖と糖尿病の真実

保内郷メディカルクリニック 内科より

高血糖、すなわち血糖値が高い状態が慢性的に続く病気が糖尿病です。高血圧と同様に、初期にはほとんど自覚症状がないため、気づかないうちに血管や神経がダメージを受け、重篤な合併症を引き起こす「静かなる病」です。

当院の内科では、高血糖の早期発見と、患者様一人ひとりに合わせた継続的な糖尿病管理に力を入れています。今回は、高血糖のメカニズム、そのサイン、そして日常生活で今すぐ始められる対策について詳しくお伝えします。


1. 高血糖とは何か? 糖尿病のメカニズム

私たちが食事から摂取したブドウ糖(グルコース)は、体内でエネルギー源として利用されます。このブドウ糖を血液中から細胞に取り込むために不可欠なホルモンが、膵臓から分泌されるインスリンです。

  • 高血糖の状態: インスリンの分泌量が不足したり、インスリンが十分に働かなくなる(インスリン抵抗性)と、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれず、血中の糖濃度が高くなります。これが「高血糖」です。
  • 糖尿病とは: この高血糖の状態が慢性的に続くことで、全身の血管や神経が少しずつダメージを受けている状態を「糖尿病」と診断します。

日本の糖尿病患者数は増加の一途をたどっており、予備軍を含めると、国民の約4人に1人が関連していると言われるほど身近で重大な国民病です。

2. なぜ高血糖が怖いのか? 3大合併症のリスク

高血糖が恐ろしいのは、痛みや苦しみを伴う急性症状よりも、全身の血管と神経を蝕むことによって引き起こされる慢性合併症にあります。これらは「糖尿病の3大合併症」と呼ばれ、生活の質(QOL)を大きく損ない、命に関わるリスクがあります。

❶ 糖尿病性網膜症(眼の合併症)

眼の奥にある網膜の細い血管が傷つき、視力障害を引き起こします。自覚症状がないまま進行し、最悪の場合、失明に至ることもあります。糖尿病による失明は、日本における失明原因の上位を占めています。

❷ 糖尿病性腎症(腎臓の合併症)

腎臓の毛細血管が集まる部分がダメージを受け、血液をろ過する機能が低下します。進行すると、体内の老廃物を除去できなくなり、最終的には人工透析が必要となります。日本で新たに透析を始める原因の第1位は、糖尿病性腎症です。

❸ 糖尿病性神経障害(神経の合併症)

手足の末梢神経に血液がいきわたらなくなり、しびれ、痛み、または感覚の麻痺を引き起こします。特に足の感覚が麻痺すると、怪我や火傷に気づかず、壊疽(えそ)を起こして足の切断に至るケースもあります。

これらに加え、高血糖は心筋梗塞や脳卒中といった大血管障害のリスクも高めます。

3. 高血糖のサイン:見逃してはいけない初期症状

高血糖は初期には無症状ですが、血糖値がかなり高くなると、体が以下のようなSOSサインを出し始めます。

  • 多飲・多尿: 血液中の糖を薄めるために水分が多く必要になり、その結果尿の量が増えます。
  • 体重減少: 糖が尿として排出されるため、食べてもエネルギーとして使われず、体重が減少します。
  • 疲れやすい、だるい: 糖がエネルギーとして細胞で使われないため、常に体がエネルギー不足の状態になります。
  • 皮膚のかゆみ、感染症: 高血糖は免疫力を低下させるため、化膿しやすい、カンジダなどの感染症にかかりやすい状態になります。
  • 視界がかすむ: 血糖値の急激な変動により、一時的に目のピントが合いにくくなります。

これらの症状に気づいた場合、速やかに医療機関を受診してください。

4. 高血糖の予防と管理:今日からできること

高血糖を改善し、合併症を防ぐためには、生活習慣の改善と継続的な治療が不可欠です。

🥗 食事療法(血糖値のコントロールの鍵)

  • 炭水化物の摂り方: ご飯、パン、麺類などの炭水化物は、血糖値を最も大きく上げます。量を適正に保ち、野菜やタンパク質を先に食べる「食べる順番」を意識して、血糖値の急激な上昇を抑えます。
  • 規則正しい食事: 欠食は次の食事で血糖値を急激に上げる原因になります。1日3食、時間を決めて規則正しく食べましょう。
  • 間食・甘い飲料の制限: 清涼飲料水やジュースは、血糖値を急激に上げるため、極力控えましょう。

🏃 運動療法(インスリンの効果を高める)

  • 有酸素運動: ウォーキング、水泳、軽いジョギングなどを毎日20〜30分継続することで、インスリンの働きが改善され、血糖値が下がります。
  • 食後の運動: 食後1時間を目安に体を動かすと、食後の高血糖を抑えるのに効果的です。

💊 薬物療法(必要な方へのサポート)

食事・運動療法で血糖値のコントロールが難しい場合、内服薬やインスリン注射による治療を開始します。当院では、患者様のライフスタイルや病状に合わせ、最適な治療法を選択し、合併症のリスク低減を目指します。

5. 当院内科からのメッセージ:早期発見、継続が未来を変える

糖尿病は、早期に発見し、適切に管理すれば、合併症の発症を遅らせたり、防いだりできる病気です。

健康診断で「血糖値が高い」「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値が高い」と指摘された方は、放置せずに必ず内科を受診してください。HbA1cは、過去1〜2ヶ月の血糖値の平均を反映する重要な指標です。

保内郷メディカルクリニックは、地域の皆様の血糖値管理のパートナーとして、丁寧な診断と、継続しやすい生活指導を提供いたします。

大切なご自身とご家族の未来のために、今こそ高血糖と向き合いましょう。

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医院概略

医院名医療法人保内郷厚生会
保内郷メディカルクリニック
住所〒319-3526
茨城県久慈郡大子町大子824
診療
科目
内科,皮膚科,耳鼻咽喉科,麻酔科,内視鏡
入院
設備
19床
Tel &
Fax
Tel:0295-72-0179
Fax:0295-72-0222
Emailhonaigo-mc@outlook.jp

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