ただの「疲れ」ではないかも—貧血のサインと隠れた原因

保内郷メディカルクリニック 内科より

「最近疲れやすい」「立ちくらみがする」といった症状があると、「貧血かな?」と自己判断して鉄剤サプリメントで済ませてしまう方も少なくありません。しかし、貧血は、体内のどこかに異常が起きているサインであり、その原因は単なる鉄分不足にとどまらない場合があります。

貧血を放置したり、誤った自己治療を続けたりすると、心臓に負担がかかるなど健康を大きく損なうリスクがあります。当院の内科では、血液検査や精密検査を通じて貧血の真の原因を特定し、根本的な治療をご提案します。今回は、貧血の基礎知識と、見逃してはいけないサインについて詳しく解説します。


1. 貧血とは? そのメカニズム

貧血とは、血液中の赤血球、または赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)の量が減少した状態を指します。

  • ヘモグロビンの役割: ヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身の細胞や組織に運ぶという、生命維持に不可欠な役割を担っています。
  • 貧血の状態: 貧血になると、体が必要とする酸素を十分に運べなくなり、全身が「酸素不足」の状態に陥ります。

この酸素不足を補うために、心臓はより速く、より強く血液を送り出そうと過剰に働き始めます。これが心臓に大きな負担をかけ、動悸や息切れといった症状を引き起こす原因となります。

2. 貧血の主なサイン(症状)

貧血の症状は、その程度や進行速度によって異なりますが、一般的に以下のようなサインが現れます。

❶ 全身症状

  • 倦怠感・疲労感: 酸素不足のため、体が常にエネルギー不足となり、疲れやすくだるさを感じる。
  • 顔色が悪い・結膜の蒼白: ヘモグロビンが少なくなるため、皮膚や目の裏側(結膜)が白っぽくなる。

❷ 循環器系症状(心臓への負担)

  • 動悸・息切れ: 心臓が酸素不足を補うために過剰に働くため、少し動いただけで心臓がドキドキしたり、息が切れたりする。
  • 立ちくらみ・めまい: 血圧の調整がうまくいかず、脳への血流が一時的に低下しやすくなる。

❸ その他の特有の症状

  • 頭痛、耳鳴り
  • 爪の異常(スプーンネイル): 爪が薄くなり、反り返るような変形が見られる場合がある。(鉄欠乏性貧血に特有)
  • 異食症: 氷、土、紙など、通常食べないものを無性に食べたくなる症状。(鉄欠乏性貧血に特有)

これらの症状は「疲れているだけ」と軽視されがちですが、特に症状が持続する場合は、医療機関での検査が必要です。

3. 見逃してはいけない! 貧血のタイプと隠れた原因

貧血にはいくつかのタイプがあり、それぞれ原因が異なります。原因を見極めずに鉄剤を服用しても、効果がないばかりか、治療が遅れてしまうリスクがあります。

❶ 鉄欠乏性貧血(最も多いタイプ)

  • 原因: ヘモグロビンの材料となる「鉄」が不足している状態。
  • 主な要因:
    • 出血: 特に女性の過多月経、そして消化管からの慢性的な出血(胃潰瘍、大腸がん、痔など)
    • 摂取不足: 極端な偏食やダイエット。
    • 需要の増加: 妊娠・授乳期。

❷ 消化管出血による貧血の重要性

特に男性や閉経後の女性の場合、貧血の原因として消化管からの目に見えない慢性的な出血が隠れている可能性を最も重視します。これは、胃がんや大腸がんといった重大な病気のサインである場合があるためです。当院では内科・消化器科・内視鏡科が連携し、貧血の原因が消化管出血にあると疑われる場合、迅速に胃カメラや大腸カメラによる精密検査を実施します。

❸ その他の貧血

  • 悪性貧血(ビタミンB12・葉酸欠乏): ビタミンB12や葉酸の不足により、赤血球がうまく作れないために起こります。自己免疫疾患や胃の切除後などに起こることがあります。
  • 腎性貧血: 腎臓の機能が低下することで、赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)の分泌が不足するために起こります。
  • 溶血性貧血、再生不良性貧血など: 赤血球がすぐに壊されてしまう、あるいは骨髄での造血機能そのものに異常があるなど、さらに専門的な検査が必要な場合もあります。

4. 当院内科での診断と治療

当院では、貧血が疑われる患者様に対し、以下の手順で原因を特定し、適切な治療を行います。

  1. 血液検査: ヘモグロビン値だけでなく、貯蔵鉄の量を示すフェリチン値や、赤血球の大きさ、その他の血液成分を詳細に分析し、貧血のタイプを特定します。
  2. 原因の特定: 問診で食事や月経の状況、その他の症状を確認し、特に消化管出血が疑われる場合は、当院の内視鏡科と連携し、胃カメラや大腸カメラによる精密検査を速やかにご提案します。
  3. 根本的な治療:
    • 鉄欠乏性貧血の場合: 鉄剤の服用(飲み方や副作用のケアを指導)と、原因となっている出血源の治療(例:消化器の病変治療)を行います。
    • その他の貧血の場合: 不足しているビタミン剤の投与や、腎臓疾患など基礎疾患の治療を行います。専門的な疾患が判明した場合は、適切な専門医療機関へご紹介いたします。

5. 当院からのメッセージ:貧血を「体の不調」として受け止めないで

貧血は、決して軽視してはいけない「体からのメッセージ」です。特にご自身で鉄剤を飲んでいるのに改善しない方、男性や閉経後の女性で貧血を指摘された方は、放置せず、必ず医療機関にご相談ください。

保内郷メディカルクリニックの内科は、貧血の裏に隠された病気を突き止め、地域の皆様の健康と安心を守るために尽力いたします。

気になる症状があれば、いつでもご来院ください。

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医院概略

医院名医療法人保内郷厚生会
保内郷メディカルクリニック
住所〒319-3526
茨城県久慈郡大子町大子824
診療
科目
内科,皮膚科,耳鼻咽喉科,麻酔科,内視鏡
入院
設備
19床
Tel &
Fax
Tel:0295-72-0179
Fax:0295-72-0222
Emailhonaigo-mc@outlook.jp

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